名称    :   旧日野医院   (国指定重要文化財)

所在    :   大分県由布市湯布院町川西467-4

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明治27年、日野医家3代目の日野要氏によって建てられた擬洋風、土蔵造り 木造2階建ての医院。
県内に現存する洋風建築の最古といわれ、青緑色のアーチを描く玄関ポーチと、漆喰仕上げの白壁が美しい建物である。
平成4年から7年にかけて保存修理が行われ、平成11年に国指定重要文化財に登録された。今年で築120年を迎えるというから
驚きである。

日野家は江戸時代から続く医師の家系、要氏の娘、日野俊子氏もまた医者を志、当時としては珍しい女医として90歳を超えるまでこ
の病院で診療を続けたという。国際女医学会賞・日本女医学会賞・勲五等宝冠章等を受賞。名誉町民の称号まで贈られた俊子氏、
医院の庭は、俊子先生記念公園となっており、院内も当時使用されていた、診察台や、医療器具が展示され、文化的にも非常に価
値の高い建築物となっている。

擬洋風建築の本館の他に、当時としては大変珍しい、和風建築の病棟と、離れも隣接して建てられており、温泉保養地、由布院の礎
を築いた油屋熊八も入院した事もあるとか。

明治から昭和まで約80年医院として地域の人々に愛され、今も尚その志と歴史が引き継がれている。

<玄関ポーチ>

アーチ状に作られた青緑色の欄間が、漆喰
仕立ての壁に栄えてとても美しい。

2階が光を取り入れた大きな窓でも、このア
ーチがあることで洋風な印象を与えている。

<正面2階 壁面>

壁に鏝絵で描かれた鷹が見える。

鏝絵は反対側にも有り、そちらには牡丹。
鷹は「鋭い眼で病気を見抜く」ことを、牡
丹は「患者のことを優しく思う心」を表して
いる。

<ポーチ柱>

また、こちらにも日野氏のこだわりが、ポーチ柱
頭飾りに阿吽(あうん)の龍が施されてる。

「医者と患者が阿吽の呼吸で病気を治していく」と
いう意味が込められている。

<ポーチ内>

ポーチ内部から天井を見ると、折り上げ格天井。
木目も美しいままだ。

また、先ほどの龍と、近くで見るとやはり見事なア
ーチがある。

<玄関>

ポーチをくぐると、木製のガラス戸がある、

アーチ状の玄関なのにドアじゃないところ
がいい。

<待合室>

美しい室内である。畳なのに、天井がとても明治調で中央に置かれた振り子時計もとても素敵、明かりもいい。

また、正面には日野俊子氏を紹介した看板や、日野医家祖先の師だったというシーボルトの絵、奥の部屋にはなんと、明治天皇直
筆の国家の文字と自画像まで、

こんなすごい待合室は、他にはないだろう。

<診察室>

思わず言葉を失ってしまう、本当にこれは現在の写真なのか、当時のまま時間が止まってしまったかのようだ。

漆喰天井に板張りの床、当時使われていた、椅子や診察台、扇風機までもそのままだ。
木造のこの部屋からは、患者のことを親身なって診ていた日野先生達の温かさまでも感じられる。

<階段>

かなり急な階段に思えるが、

曲線を描く踏み面が見事だ。

<2階 客間>

2階は客間になっており、竿縁天井と細かな細工
の欄間が美しい。

今は俊子先生の旦那さん日野篤三郎氏の絵が
展示されている。その他にも、日野家の写真など
も展示されている。

<2階 欄間>

欄間の細工が見事である。

<離れ>

こちらの離れにもとても興味深いものが
ある。

なんと、床暖房が施されている。
温突(オンドル)というもので、日野要氏が
朝鮮に行った時に温突を見て、昭和6年
頃にこれを真似て建てたものである。

仕組みは、床の下の空気を外部の釜で
暖めてそれを送り込み、部屋を暖めると
いうもの。

どれぐらい、温かかったのだろう。

だが画期的だ。

<離れ>

薬草を煎じていた囲炉裏。

患者にあわせ薬を調合していたのだろう。

<病棟 廊下>

隣の病棟もご紹介したい。

木造2階建ての病棟では、広い炊事場や食
堂もあり、2階もあわせて8畳の病室が6部
屋備えられていた。

軒先からは日の光が病室まで届き、ちょうど
雪見障子戸の硝子の部分から差し込んでい
る。

とっても気持ちが良さそうだ。

<病室>

広々とした美しい病室である。

木製のベッドもちゃんと残っている。やはり病院は布団ではなくベッドなのだろう。

このページの資料は、すべて由布市教育委員会様にご提供頂いたものである。この場を借りて感謝の意を表したい。


要氏によって建てられたこの医院は、建築費用2万円を要し、工事期間は木材の調達を含めて約6年を費やしたそうだ。

当時の洋風建築の殆どが庁舎・地方郡役所・学校・銀行などの公共建築ばかりだったという。そんな中、個人の医院として

病棟を併設した建物は他に類を見ない。

そんな医院には、所々に要氏の考え方や想いが現れており、それは公共の建築物ではなかなか見られないものだ。

旧日野医院は、高速湯布院インターから車で5分、JR久大線南由布駅から歩いても5分なので、

湯布院を訪れた際は、是非とも足を運んで頂きたい。


詳細はホームページ参照のこと。