名称    :   25種の木の家 (有限会社 杢創舎)

所在    :    岩手県盛岡市玉山区好摩字芋田向85番20

HP       :   25種の木の家 (有限会社 杢創舎 ホームページ内)

岩手県産無垢材を使用した自然素材による伝統的工法住宅を得意とする、木造在来工法による自社設計施工会社。
有限会社 杢創舎(もくそうしゃ)の作品のひとつである。

屋根材はファイバーグラスシングル葺き、側面の壁材はガルバリュウム鋼板、正面軒下の、柱材、壁材には無垢材を使用している。

壁300㎜・屋根600㎜の断熱材が充填されているので非常に高断熱、本州で一番寒い岩手なのですが、昔の技と現代の技術の融合
を成す事で薪ストーブ一台で寒くなく暮らせる。と云う。

軒下に収めた、まるでサンルームのようなガラス張りの玄関部が印象的で、見るからに心地よさそうである。

この建屋は25もの樹種の木材を、適材適所で使用しているというから更に素晴らしい。

使用している材は、

針葉樹が

1 スギ  2 アカマツ 3 カラマツ  4 ヒメコマツ  5 樹齢300年マツ  6 ヒノキ  7 ヒバ  8 サワラ  9 ネズコ
10 ベイスギ  11 ベイヒバ

広葉樹が

12 クリ  13 ケヤキ 14 エンジュ  15 クルミ  16 ハリギリ  17 ホウノキ  18 トチノキ 19 キハダ  20 キリ 
21 ヤマザクラ  22 シュリザクラ  23 カツラ 24 イタヤカエデ 25 ミズナラ 

ケヤキ・クリ・エンジュは、300㎜角6mの通し柱や大黒柱に床柱など、構造躯体としても使用されている。すごい。

<無垢材をふんだんに使った軒下>

無垢材をふんだんに使った軒下である。

屋根の裏板まで、無垢材が使用してある豪華さ、は素晴ら
しく、側面をガルバリュウム鋼板の外壁で仕上げることによ
り、前面の無垢の外壁がより引き立って見える。

なるほど、こういう演出もよいものだと思わせる説得力があ
個性的な外観である。

<前面の雨戸>

雨戸がついている。しかも、木製である。 素晴らしい。 地杉の源平色(杉の心材と辺材の色の差)は経年変化で1年も経てば

同色になり、新築の際より更に落ち着いた雰囲気になると云う。

木の雨戸を閉めたときの、あの独特の雰囲気を覚えておられる方は、もはや少数派であろうか、

台風が来るのがなぜか嬉しかったりする、あの感覚が懐かしい。

<堂々たる柱に梁>

すごい、なんと堂々たる柱に梁。

柱はけやき材、太さ300mm角、通しの大黒柱、

梁は南部赤松材、巾180㎜成360㎜の太さというから
驚きである。

これだけの材になると、正面のいろりも納得である。

<リビング>

うわ~、すごすぎる。 囲炉裏に、薪ストーブに、畳の間に、キッチン この設計は大胆である。

しかし、この部屋で寛ぐ家族の時間を考えてみると、楽しみだらけである。

こんなもの、テレビやビデオがなくとも、暖炉の火をくべて、キッチンで料理して、囲炉裏で焼いてうまいものを食う。

それだけでも、生きていること自体を楽しめそうである。 これいいぞ。すごいぞ、杢創舎さん!

<いろりの上には、ちゃんとダクトが、>

いろりの上にはちゃんとダクトが設置されていて、し
かも、木製の火棚(ひだな)まで、ロープで吊るされて
いるではないか、

火棚は、本来上部に舞い上がる火の粉を防ぐと共に、
煙や熱を拡散させるものであるが、ヒエやアワといっ
た穀類などを乾燥させたり、川魚などの食品を吊るし
煙による燻煙で保存食を作ったりするものである。

もちろん、格子状なので、火の粉や煙が通り抜けるの
で本来の機能とは違うが、煙と熱の通り道に色々な物
を吊るせそうである。

燻製ができるか否か、色々と遊べること間違いなし。

これは、楽しい。

<和室の独立性>

板戸ですよ、板戸。

ここで、襖をもってきてはいけない。

やはり板戸である。

古民家などで古来よりある板戸、これで、
この部屋の独立性が数段上がる。

素晴らしい。

<木とタイル仕立ての湯屋>

木とタイル仕立ての湯屋である。

ここまでくれば、やはりこうでしょう。

床材も、タイルも色使いがうまい。

これで、風呂も情緒たっぷり楽しめる。

<二階、吹き抜けと踊り場>

一階の、いろりも、薪ストーブも、この吹き抜けを通して二階部まで暖めてくれるという構造だ。

ここでも見事な通し柱が、家をどっしりと支えてくれているのを感じることができる。

<二階踊り場から部屋を望む>

二階の梁もりっぱなものである。

二階は全面の壁に腰壁がめぐらせれ、ちょっと、山荘風の
佇まい。

白い壁の部分は、ホタテの貝殻を粉砕して製造されたチャ
フウォールという壁塗り材で、空気清浄効果があると云う。

<二階板の間>

無垢材を存分に使ったよい部屋である。

この部屋の窓には、内側に木戸が取り付けて
あるようだ、これも、防音、断熱によいかもしれ
ない。

閉めてしまえば、昼寝も完璧かも。

ここの杉材の色も次第にお互いの色が茶褐色
になりながら近づいて源平差が気にならないほ
どになると云う。

<向かいの板の間>

二階の窓には、実は障子が壁内部に引き込まれている仕組み。

ご覧の様に、これを見せるとかなり和風が引き立つ。

<一階、土間と栗の柱>

最後にもう一度一階、実は土間までついている。

右にみえるのは栗材の大黒柱である。

これもなんと、300mm角の太さ、

いやはや、おそれいりました。

有限会社 杢創舎 の作品  『25種の木の家』  とても楽しい嗜好がいっぱいの、楽しげな家である。

朝起きる、食事を作る、食べる、風呂にはいる、寝る、皆で楽しむことはめいっぱい楽しんで、個人を楽しむこともめいっぱいできる。

そんな家が理想であろう。

毎日の生活がたのしめる。 この家はそんな思いが存分に生かされている素晴らしい作品である。


かつて、森が豊かであった頃の家屋では、硬い木、柔らかい木、水に強い木、腐りにくい木、燃えにくい木、軽い木、防虫効果の高
い木、意匠の質感が素晴らしい木、それぞれの使用目的に応じて、木材の種類を使い分けていた。

むろん、これらの材の違いは、質感、実用性、居住性まで向上させ、生活の楽しみを豊かにしてくれていたわけだ。

いまとなっては、実践するととてつもない贅沢になってしまうのだが、本来、日本の木造建築は豊かな森に支えられて、世界で最も
高度な木造建築技術を有するといわれるにまでとなった。

戦後大量に消費され、その成長速度ゆえに限られた樹種のみが植林された日本の山も、そろそろ、かつての豊かな森に返すとき
であろう。

その為には、まずは、その恩恵の貴重さから回帰しなければならないのかもしれない。

岩手の豊富な樹種の山にからいただく恩恵を山の姿そのままに建てたい。施主と施工者共に木が好きだから実現したという。

そういった意味でも、貴重な作品である。


詳細はホームページ参照のこと。