名称    :   美しい時代に刻まれた家 (有限会社 杢創舎)

所在    :    岩手県盛岡市玉山区好摩字芋田向85番20

HP       :   矢巾大改修の家 (有限会社 杢創舎 ホームページ内)

築85年を超えた屋敷の大改修、知恵と努力と力と技と情熱と、全てを注いで再生された傑作中の傑作、この屋敷の美しさは並ぶも
のなし。

有限会社 杢創舎(もくそうしゃ)が、大改修を行った作品のひとつである。

改修前の外壁は土壁に漆喰であったが、東日本大震災で各所崩れてしまい、雨漏れする状態であった、この外壁を美しい板壁に造
りなおし、、痛んだ屋根の葺き替え、構造材の補強、内装の大胆な改修を行いつつ、可能な限り、改修前の美しさを引き出し、より高
めることに成功した見事な仕事である。

<門へと続く道>

かつては、こういったお屋敷を見かけたものであるが、
今ではとんと見かけなくなった。

岩手県のほぼ中心部に位置する紫波郡に属する矢巾
町(やはばちょう)も、盛岡市南部に隣接するベッドタウ
ンとしての開発が進んだが、幣懸(ぬさかけ)の滝・南昌
山・矢巾温泉・徳丹城跡など、町内に名所旧跡は多く、
未だ、各所に美しい景色を残している。

<門>

美しい絵である。

やはりここは、可能な限りこのままがよい。

<門をぬけると>

自然な感じの庭がなんともよい。

美しい建屋が見えてきた。

<外観近景>

屋根は瓦葺だったものを、ファイバーグラスシングル葺きに改修、軽く、耐久性が高いと云われる部材で、その軽さゆえ地震対策
には特に有効で海外では意外とポピュラーな屋根材、日本家屋にも良く合う意匠であるといわれるが、なるほど、納得である。

それにしても、美しい外観である。

<改修中の外壁と出腰窓>

ご覧のとおり、外壁は崩れた土壁を落としながら透湿防風処理
をして杉板を張込んだものだ。

美しく貴重な造作の出腰窓は、その姿をそのまま残せる様に配
慮して施工してある。

実は、大改修後の姿からは想像もつかないくらい痛んでいたわ
けだ、この仕事、すごい。

<出腰窓>

昔の出腰窓の風情が何とも良い。

銀鼠の古びた雰囲気をになっていたものをブ
ラウンの超撥水剤を塗布して、雰囲気を少し
変化させながら保護塗装を行ったと云う。

うん、良い仕上がりである。

<縁側>

南側の面には、縁側を有する。

風情豊かな空間となっている。

縁側にケヤキの板が使ってあり、しかも、釘
を使わないで楔(くさび)でおさめていたため、
綺麗に鉋(かんな)をかけて張り戻したという、

すごい。

<玄関>

まっすぐに見渡せる、気持ちのよい玄関である。

この大改修の特徴のひとつが、あえて、新しい無垢材をそのまま使用することで、コントラストを強めたことだと云う。
賛否両論あろうが、使い方であろう、新旧の材が違和感なく支えあって調和がとれているし、新鮮な意匠でもある。

新旧の材料の色の差は、1年もすると新しい材料が経年変化して飴色に艶が出始め、数年すると更に色合いが深くなり馴染んで
くるという。赤松は最初の白さが嘘のように美しく変化する。

新しい状態も、これはこれで美しいのだが、時間の流れと共に、更にいい雰囲気にかわってゆく景色を楽しむことになるわけだ。

<板の間>

いや、この窓がお洒落である。

昔の職人は、いいものをつくるものだ、

天井がまたよい、あかりもシンプル。

現状でもいい感じだが、杉の源平色
も同様に変化するので、この写真の頃
よりも更にいい雰囲気に仕上がってゆく。

<無垢材の洗面台>

無垢材の洗面台とはうらやましい。

合板とブロー成型でできた洗面台が好きな方もいるようだが、

やはり本物、この質感は素晴らしいではないか。

<リビング>

ここからが更に素晴らしい。

薪ストーブの不燃壁には、改修前に使われていた瓦を、一枚一枚半分に切断して、モルタルを挟んで積み重ねたもの、

手間がかかったであろうが、にくい演出である。

<リビング 畳の間>

いいですねぇ~。

この落ち着いた感じ、

いかにも、旧家の気品を感じさせる

美しい仕上がり

<リビング>

実に美しい。 よくこれだけのことが出来たものである。

梁のホゾ穴隠しながら揺れを抑えるなどの目的で、ケヤキ曲り板を梁の方杖(ほうづえ)として取り付けて補強しであるが、あえて
古代色にせず、新無垢の色そのままで仕上げてあると云う。 なるほどなかなか美しい仕上がりとなるものだ。

<リビング>

元からの障子と縁側のところにペアガラスの木製建具を配し、上部のランマ部は壁断熱として遜色なくするためにペアガラスの
2枚建てで仕上げてある。 断熱性能も、あかりとりの性能も上げた分けだが、その仕上がりの美しいこと。

ここまで、新旧の差があり、更にそれをつくろわなくても、美しく仕上がるのには驚きである。
本物同士ならば、新旧の差など逆に美しさを引き出すアクセントのようなものなのであろうか、

<キッチン>

素晴らしい仕上がりである。

調理台、調理家電は新しいものが入っているのに、これだけの調和はなんなんだ。 なるほど、本当のリフォーム、再生とは、こう
いうことなんだと思わせる説得力がある。

<玄関>

この玄関を見て、杢創舎さんは、昔の人が
造る建具はカッコいいと感じたそうな。

まさに同感、更に言えば、玄関自体の造り
から美しい。

この玄関引き戸を、宮沢賢治さんもカラカラと
開けたこともあるとのこと、

きっと絵になったことでしょう。

美しい時代に刻まれた家 (有限会社 杢創舎)、編集者の力量不足で申し訳ない。 この美しさがなかなか表現できずにいる。

実は、杢創舎さんがこの家のムービーを作成しているのだが、編集者はこれをみて非常に美しいと感じた。

これはもう、ひとつの芸術である。  下にリンクを貼っておくので、是非とも全画面表示で見て頂きたい。